骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症は、骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
立った姿勢からの転倒か、それ以下の外力(これを軽微な外力と言います)によって背骨や太ももの付け根の骨折を起こす場合はそれだけで骨粗しょう症と診断されます。
発症の原因は、基礎疾患の有無により大きく分けられます。
特定の疾患がない状態で発症するタイプを原発性骨粗しょう症と言います。
この場合、閉経後の女性に多く見られる閉経後骨粗しょう症や、加齢による腸からのカルシウム吸収の低下により引き起こされる老人性骨粗しょう症が主なケースです。

一方、基礎疾患や特定の原因がある場合を続発性骨粗しょう症と言います。
このタイプは、関節リウマチ、糖尿病、甲状腺疾患などの疾患を持つ患者さん、または薬物の影響(ステロイドの長期投与、抗てんかん薬など)、ビタミンD欠乏症などが原因で発症します。

ステロイド使用マウス腰椎
健常者マウス腰椎
治療薬投与後腰椎

(Arthritis Rheum 2007;56:3726)

主な症状としては、骨密度の低下による自覚症状はほとんどありません。
多くの患者さんは、転倒時に手をついたりした結果、簡単に骨折することで初めて気づくことが多いです。
手首や肋骨は骨粗しょう症で一番最初に骨折が起こりやすい部位とされております。70歳代になると背骨の圧迫骨折を起こすことが増え、80歳代で太もも付け根の骨折を起こす人が増えていきます。
背骨の骨折を起こすと、多くの人は強い腰痛のために1ヶ月ほど動くことが困難となりますし、太もも付け根を骨折すると、寝たきりになる可能性が高いとされています。
骨粗しょう症は日本人において、寝たきりの原因として脳卒中についで2番目に多く、十分な注意が必要です。
また生命予後につながる疾患で、反対側が骨折する、両側が骨折するとさらに予後が悪化するとされております。

出典:くるこつ広場

検査について

診断を確定するために行われるのが骨密度検査です。
この検査は骨の強さを評価するもので、DEXA法、超音波法、MD法などの種類があります。
DEXA(二重エネルギーX線吸収測定法)では、2種類のX線をそれぞれ異なる部位(主に腰椎と大腿骨頸部)に照射し、骨密度を計測します。
その結果、20~44歳の若年成人の骨密度の平均値の70%未満だと判断された場合、骨粗しょう症と診断されます。
70~80%の場合は骨量減少と診断され、80%以上なら正常と診断されます。
上記検査以外にも、骨折の有無を確かめるためのX線撮影や基礎疾患の有無などを調べる血液検査を行うこともあります。

また上述のように軽微な外力で背骨や太ももの付け根を骨折する場合は骨密度の値に関わらず、骨粗しょう症と診断されます。骨の強さは骨密度だけではなく、骨質も関係します。
例えは弾性力(骨がたわむ力)がこれに相当しますが、現在の日常診療では測定はできません。
当院ではDEXAは導入しておらず、連携先の近隣施設での検査となりますが、結果説明、治療導入、治療内容変更などは当院で積極的に行っております。

治療について

骨粗しょう症は、骨の健康に影響を与える生活習慣病として知られています。
その対策として、日常生活の習慣を見直すことが重要です。
食事に関しては、カルシウムやビタミンD、ビタミンKなどを豊富に含む食品やサプリメントの摂取が推奨されます。
さらに、骨を強化するためには、骨に適度な負荷をかける運動が必要となります。
具体的には、ウォーキングやジョギングなどの中強度の有酸素運動や、転倒を防ぐための体幹強化が重要です。 一日5分でも太陽に当たることはビタミンDの産生につながります。
日光を浴びる時間が適度に必要です。
これらの生活習慣を整えた上で、薬物療法も行われます。

近年、骨粗しょう症の治療薬も大きく進化してきております。
薬物療法には、活性がビタミンD3薬やカルシウム薬や、骨吸収を進行させる破骨細胞の働きを抑制する骨吸収抑制薬、骨形成に必要な骨芽細胞の活動を促進する骨形成促進薬などがあります。
骨吸収抑制薬の代表的な薬剤はビスホスホネートや選択的エストロゲン受容体モジュレーター、抗RANKL抗体があり、骨形成促進薬の代表的なものは副甲状腺ホルモン薬があります。

また両方の作用機序をもつものとして近年は抗スクレロスチン抗体も登場し、重症骨粗しょう症患者さんに使用されています。
これらの多くの治療薬の中でどの薬剤を選択するのかは、患者さんの背景によって異なります。
まずは主治医の先生とご相談ください。

休診日
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*三井記念病院からの派遣医師
診療時間 日祝
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院長
鈴木 曉岳
診療科目
リウマチ科、膠原病内科、内科一般
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