予防接種

予防接種とは

当院では、予防接種も行っております。 予防接種とは、特定の感染症が重篤化したり、広まりやすい状況を防ぐために、事前に体内の免疫力を強化する行為です。 これにより、もし感染しても病気が発症する可能性が低くなり、また発症した場合でも症状が軽くなることが期待されます。 このような免疫力を強化するための予防接種が、ワクチン接種と呼ばれています。 従来のワクチンは感染症を引き起こす病原体(細菌やウイルスなど)を基に作られており、病原体の病原性をできるだけ弱めたもの(弱毒化ワクチン=生ワクチン)や、無力化した病原体などを用いて作られたもの(不活化ワクチン)があります。

一方最近では、タンパク質ベースのワクチン、ウイルスベクターワクチン、DNAあるいはRNAなどの核酸を用いる核酸ワクチンなども登場しております。 日本で接種されているコロナワクチンは核酸ワクチンに相当します。 予防接種(ワクチン接種)を受けることで、接種を受けた本人は特定の感染症に対する免疫力を、実際にその感染症にかかることなく獲得し、発症を防ぐことが可能となります。

さらに、接種を受ける人々が増えることで、集団全体の免疫力が向上し、ワクチンを受けられない人々への感染リスクも低下します。 つまり、ワクチン接種は個々の健康だけでなく、社会全体を守る役割も果たしているのです。 2019年に欧州リウマチ学会から発表された、リウマチ性疾患(関節リウマチや他の膠原病が含まれます)におけるワクチン接種における勧告において、リウマチ性疾患がある患者さんはインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種を推奨されております。

当院では、以下のワクチン接種を行っています。

インフルエンザワクチン

インフルエンザの予防には、手洗いやマスクの使用などがありますが、特に効果的なのがインフルエンザワクチンの接種です。
ただし、ワクチンの効果を最大限に引き出すためには、接種のタイミングが重要となります。
インフルエンザワクチンは、一度の接種で約5ヵ月間の効果があり、接種後に免疫力が高まるまでに約2週間必要とされています。

したがって、インフルエンザが流行する前に接種することが推奨されます。
日本では、通常、12月から3月までの間にインフルエンザが流行します。
そのため、ワクチンの効果を最大限に発揮させるためには、流行のピークである1月よりも前、つまり12月中旬までに接種を完了することが理想的です。

肺炎球菌ワクチン

肺炎は日本人の死因の中で3番目に多い病気であり、その死亡者の9割以上は65歳以上の高齢者です。
そして市中肺炎で最も頻度が高い検出菌が肺炎球菌となります。
肺炎球菌は特に高齢者において重症肺炎を起こし、死亡率が高いことで知られております。
高齢者肺炎の発症予防には、肺炎球菌ワクチン接種が推奨されております。
我が国では2014年10月1日から高齢者を対象として、不活化ワクチンである肺炎球菌ワクチンの定期接種が開始され、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス®NP)が用いられております。
定期的な予防接種として扱われ、各自治体では接種費用の一部が補助されています。

しかしながら本邦における本ワクチンの予防効果は30%以下とされております。13価蛋白結合型肺炎球菌ワクチン(プレベナー®)も不活化ワクチンでありますが、ニューモバックス®に比べて免疫力が強いと言われております。
日本内科学会の「成人予防接種のガイダンス2016年改訂版」でも、エビデンスは未だ乏しいものの、両ワクチンの連続接種により強力な予防効果を期待でき、可能な範囲で検討すべき選択肢であると述べられております。
プレベナー®は定期接種化されていないため、接種費用は自己負担となります。プレベナー®の適応は2020年5月から全年齢の肺炎球菌の罹患リスクが高いと考えられる者となり、これには高齢者のみならず、膠原病疾患で免疫抑制剤を服用している患者さんも含まれるようになりました。

中野区では、定期予防接種でこれまでに肺炎球菌ワクチンを受けたことがない方、前回の接種から5年以上経過している方で65歳以上の方につきましては、費用の一部を助成しています。
詳細は、同区の公式サイトをご覧ください。
ちなみに前回の接種から5年未満で再接種となれば、注射部位に強い痛みがみられるようになるので要注意です。

コロナワクチン

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が2019年12月末に出現し、日本国内で広がったことは周知の事実かと思います。
COVID-19の流行で大きなブレイクするーとなった核酸ワクチン(mRNAワクチン)として、2021年2月にファイザー社製ワクチンが本邦でも承認され、その後モデルナ社製ワクチンも本邦で承認・使用されております。

現在、接種に用いられているワクチンとして、初回接種(1・2回目の接種を1セットとしてこのように言います)でファイザー社とモデルナ社ワクチンを、初回接種完了から3ヶ月以上経過後にうける追加接種として12歳以上では前述の2種類に加え、第一三共社のmRNAワクチンが受けられます。

現在、ワクチンについては有効性の面からは少なくとも3回の接種が推奨されております。
COVID-19ワクチンは、インフルエンザワクチンとの同時接種が可能です。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化により、発症します。
VZVに初めて感染すると水痘(みずぼうそうのことです)を発症し、その後、VZVは知覚神経節に潜伏します。
加齢に伴い細胞性免疫が低下すると、VZVが再活性化し、帯状疱疹を発症します。
50歳以上のほぼすべての人は帯状疱疹の発症リスクがあるとされ、発症率は50歳代から上昇し、その後ピークをむかえ、80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されています。
体の片側に限られる、水疱を伴う腫れぼったい紅い湿疹が特徴で、胸部から背部に出現することが多いですが、全身のどこにでも起こる可能性があります。神経痛を伴うことが特徴で、時として痛みのために日常生活がままならなくなることがあります。

もう一つの大きな特徴は帯状疱疹後神経痛で、皮疹の消失後も持続する神経痛のことを言います。
特に高齢者に発生しやすく、強烈な痛みが長きにわたり続くことでその後の生活に多大な影響を与えることが少なくありません。
関節リウマチ・膠原病疾患にかかっている患者さんは治療薬(ステロイドや免疫抑制薬)を服用することで帯状疱疹発症リスクが高いと考えられております。

さらに最近では主に関節リウマチや炎症性腸疾患で使用するJAK阻害薬という薬を服用するとさらにリスクが高くなることが判明しております。
従来のワクチンは、ウイルス活性を弱めた弱毒生ワクチンですが、最近は病原性をなくした不活化ワクチンであるシングリックス®が承認されております。
シングリックス®は2回の接種が必要で、標準として1回目の接種から2ヵ月の間隔をおいて※2回目の接種を行いますが、2ヵ月を超えた場合であっても、6ヵ月後までに2回目の接種を行います。
値段が高いのですが、各自治体で任意予防接種費用の一部助成が行われております。ご確認ください。
港区のホームページにわかりやすくまとまった表がございますのでこちらをご参考ください。

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最終受付
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*三井記念病院からの派遣医師
診療時間 日祝
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院長
鈴木 曉岳
診療科目
リウマチ科、膠原病内科、内科一般
住所
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TEL
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